インプラントは本当に痛い?手術中と術後の痛みの程度と対策を歯科医が解説
インプラント治療を検討している方の多くが、「手術は痛いのでは?」と不安を感じています。
失った歯の機能を回復する優れた治療法である一方、外科処置を伴うため、痛みに対する心配は当然のことです。
本記事では、インプラント手術中と術後にどの程度痛みがあるのか、痛みが出やすいケース、そして痛みをできるだけ抑えるための方法について、専門医の視点から詳しく解説します。初めての方でも安心して治療に臨めるよう、ポイントをわかりやすくまとめました。

【保存版】インプラント治療の流れと期間|初診からメンテナンスまで徹底ガイド
インプラント治療の全体像を、初診から手術、治療期間、術後のメンテナンスまで段階ごとにわかりやすく解説します。治療を検討している方に役立つ保存版ガイドです。
手術中の痛みについて
結論として、インプラント手術中に強い痛みを感じることはほとんどありません。
手術の前に局所麻酔をしっかり効かせるため、骨を削る場面でも痛みを感じることなく治療を受けられます。麻酔は歯を抜く際に使用するものと同じ種類で、歯茎だけではなく顎の骨にまで効果を発揮します。
ただし、麻酔の効き方には個人差があります。時間が経つと効きが弱まる場合もありますが、その際は追加の麻酔を行い、痛みを取り除きます。不安を感じた時点で遠慮なく医師に伝えることが大切です。
手術中に感じる可能性がある感覚
麻酔が十分効いていても、完全に感覚がなくなるわけではありません。多くの方が次のような感覚を経験します。
- 骨にアプローチする際の圧迫感
- ドリルの振動
- 器具が触れている感触
- 手術器具の音
これらは痛みではなく、麻酔下でも残る“感覚”です。事前に知っておくことで、手術中の不安が大幅に減ります。
麻酔への痛みの配慮
麻酔注射が苦手という方もご安心ください。
当院では、歯科で使用される針の中でも最も細い「33G極細針」を採用し、麻酔薬を体温に近い温度に温め、表面麻酔をあらかじめ塗布することで、針を刺す際の痛みを最小限に抑えています。
また、治療に強い恐怖感のある方には、ウトウトしたリラックス状態で治療が受けられる静脈内鎮静法にも対応しています。
インプラント手術後の痛みと腫れ
手術後は、歯茎の切開や骨へのアプローチを行うため、ある程度の痛みと腫れが出るのは自然な反応です。
しかし、痛み止めの服用や生活面の注意を守ることで、多くのケースで不安なくお過ごしいただけます。
術後の痛みのピークと治まり方
一般的には次のように経過します。
- 当日〜3日後:痛みのピーク
- 4〜5日後:痛みが落ち着く
- 1週間後:多くの方がほぼ治癒
麻酔が切れるタイミングで痛みを感じることが多いため、痛み止めは“痛みが強くなる前”に服用することが効果的です。
腫れのピークと治癒の流れ
腫れは痛みより遅れて現れ、
- 術後2〜3日後に最も強く出る
- およそ1〜2週間で自然に改善する
頬が青紫になる場合もありますが、内出血による一時的な反応であり、多くは自然に消えます。
痛みや腫れが強く出やすいケース
以下のような場合、術後の負担が大きくなりやすくなります。
- 複数本のインプラントを埋入する
- 骨造成(骨移植)を併用する
- 歯茎の移植を行う
- 抜歯と同時にインプラントを行う
当院では、患者さまの負担をできるだけ軽減するために「OAM(大口式)インプラント法」を導入しています。骨を削らずに広げていく低侵襲な術式で、従来のドリル法より痛みや腫れ、神経損傷のリスクを抑えることができます。

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術後の痛みを最小限に抑えるためのポイント
薬を指示通りに服用する
痛み止めは痛みが出る前に服用する方が効果的です。抗生剤は自己判断で中止せず、処方された分を必ず飲み切りましょう。
血行が良くなる行動を避ける
術後1〜2日間は以下を控えてください。
- 入浴(シャワーは可)
- サウナ
- 激しい運動
- 飲酒
血流が増えると腫れ・痛みが悪化します。
患部を適度に冷やす
冷やすときは、5分冷却→10分休憩を繰り返すとより効果的です。
手術部位では噛まない
結合が安定するまで柔らかい食事を選び、手術部位と反対側で噛むようにしてください。
口内を清潔に保つ
術部を避けて磨き、医師からうがい薬が処方されている場合は指示通りに使用します。
禁煙する
喫煙は血流を悪くし、インプラントが骨と結合する邪魔をします。
喫煙者の失敗率は非喫煙者の約2倍といわれており、治療期間中の禁煙が強く推奨されます。
術後の痛みが続くケース
通常は1週間程度で痛みが治まりますが、次のような場合は早めに受診してください。
- 痛み止めを飲んでも痛い
- 1週間以上強い痛みが続く
- むしろ悪化している
- 発熱、強い腫れ、膿が出る
細菌感染や噛み合わせの不具合が原因となっている可能性があります。早期に適切な処置を行うことで、重症化を防ぐことができます。
インプラントの痛みを最小限にする当院の取り組み
低侵襲なOAMインプラント法
骨を削らずに広げることで、痛み・腫れ・神経損傷のリスクを減らせる治療法です。術後の回復も早く、負担の少ないインプラント手術が可能になります。
ストローマンインプラントの採用
当院では世界70カ国以上で使用されているストローマンインプラントを主に採用しています。
- 5〜10年後の残存率98.8%
- SLActive®による早期骨結合
- Roxolid®素材による高強度での安定性
骨量が少ないケースでも対応しやすく、より安心して治療を受けていただけます。
麻酔の痛みを抑える工夫
33G極細針、表面麻酔、麻酔液の温度管理によって注射時の痛みを最小限に抑えています。
また、インプラント治療においては、骨の量や質を正確に診断したうえで、必要に応じて骨増生(骨造成)を行い、安全にインプラントを埋入できる環境を整えています。
さらに、抜歯後にインプラント治療を予定している場合には、**リッジプリザベーション(ソケットプリザベーション)**という処置を行うことがあります。
これは、歯を抜いた後に起こりやすい骨吸収を抑え、将来的なインプラント埋入を行いやすくするための方法で、治療の成功率を高めるための重要な工夫のひとつです。
専門医によるチーム診療
噛み合わせ、補綴、インプラント治療を専門とする歯科医師が連携し、複雑な症例にも対応可能です。精密な治療計画と丁寧な治療を提供しています。
丁寧なカウンセリング
治療の流れ、期間、費用、リスクをCT画像を用いながらわかりやすく説明し、不安のない状態で治療に進めるようサポートします。
まとめ
インプラント手術中は麻酔が確実に効いているため、痛みを感じることはほとんどありません。術後の痛みも2〜3日がピークで、多くの方は1週間ほどで落ち着きます。
当院では、
- 将来のインプラント治療を見据えた計画的な処置
- ストローマンインプラント
- 33G極細針
- 骨増生やリッジプリザベーションを含めた治療環境の整備
- 専門医によるチーム診療
これらを組み合わせることで、痛みや腫れを最大限抑え、安心して治療を受けていただける環境を整えています。
インプラント治療に不安がある方は、ぜひ一度ご相談ください。
下北沢西口歯科クリニックが、あなたの「噛める喜び」と「笑顔の自信」を取り戻すお手伝いをいたします。
著者情報
下北沢西口歯科クリニック 院長 平澤 正洋
<経歴>
昭和大学歯学部卒業
東京医科歯科大学歯学部非常勤講師
米国、ニューヨーク大学大学院インプラント科 短期留学 修了
<資格・所属>
厚生労働省認定 臨床研修指導医
日本補綴歯科学会 専門医(被せ物、ブリッジ、義歯、インプラントなどを取り扱う専門医)
日本顎咬合学会 認定医(咬み合わせ認定医)
インビザライン 認定
ストローマンインプラント社認定
ノーベルバイオケアインプラント 認定
日本口腔インプラント学会
日本歯科先端技術研究所
日本臨床歯科学会 審美治療・ラミネートベニアコースインストラクター







