入れ歯は24時間装着できる?就寝中の扱い方と正しいケアを歯科医師が解説
「入れ歯って、24時間ずっとつけたままでも大丈夫?」――そんな疑問をお持ちの方は少なくありません。就寝中に外すべきか、それとも外さなくてよいのか、正直よくわからないという方も多いのではないでしょうか。
結論からお伝えすると、入れ歯は原則として就寝中に外すことが推奨されています。24時間つけたままにすると、歯ぐきや残存歯への負担が増し、お口の健康に影響が出るリスクがあります。ただし、患者さんの状態や入れ歯の種類によって例外もあるため、担当の歯科医師に確認することが大切です。
入れ歯を就寝中に外したほうがよい理由
歯ぐきや顎の骨は「休息」を必要としています
入れ歯は歯を失った部分を補う大切な補綴装置ですが、装着中はつねに歯ぐきや顎の骨に圧力がかかっています。日中の食事や会話でも相当な負荷がかかるため、睡眠中はその圧力を解放し、組織が回復する時間を確保することが重要です。歯ぐきの粘膜は皮膚と同じく、適度な休息と酸素の供給が必要です。就寝中も入れ歯を装着したままにすると、粘膜への刺激が継続し、長期的には歯ぐきが痩せたり、顎の骨の吸収が進んだりすることがあります(個人差があります)。
お口の衛生環境を守るために
就寝中は唾液の分泌量が減少します。唾液には細菌の増殖を抑える自浄作用がありますが、その量が少なくなる夜間に入れ歯をつけたままにしていると、入れ歯の表面や歯ぐきの間に細菌・カビ(カンジダ菌など)が繁殖しやすくなります。特に総入れ歯をご使用の方は上顎の粘膜全体が入れ歯で覆われるため、通気性が著しく低下します。夜間の口腔内の衛生環境を保つためにも、就寝前に外してお手入れをすることが推奨されています。
誤嚥・窒息リスクの観点から
就寝中に入れ歯が外れて、のどに詰まってしまうケースが報告されています。特に部分入れ歯の場合、留め具(クラスプ)が緩んでいると、睡眠中に入れ歯が動いてしまうことがあります。安全面からも、就寝時は外しておくことが安心です。
24時間装着し続けると起こりうること
入れ歯が長時間にわたって歯ぐきを圧迫し続けると、粘膜が傷ついたり炎症(義歯性口内炎)を起こしたりすることがあります。放置すると痛みや腫れ、さらには歯ぐきの変形につながる場合もあります。また、カンジダ菌が繁殖しやすい環境になりやすく、白っぽい膜が粘膜に生じる「口腔カンジダ症」を引き起こすこともあります(個人差があります)。
歯を失った部分の顎の骨は、適切な刺激がないと少しずつ吸収されていきます。入れ歯が常時歯ぐきを圧迫していると、骨の吸収が促進される場合があります。骨が吸収されると入れ歯が合わなくなり、ガタついたり痛みが出たりして、結果的に入れ歯の作り直しが必要になることも少なくありません(個人差があります)。
部分入れ歯の場合、留め具(クラスプ)がかかっている歯に過剰な負荷がかかります。24時間装着し続けると、その歯のエナメル質が削れたり、歯周組織にダメージが蓄積されたりすることがあります。残っている健康な歯を長く守るためにも、就寝中は外して歯全体を休ませる習慣が大切です。
⚠ よくある誤解:「外すと骨が弱くなる」は本当?
「入れ歯を外すと顎が細くなる」と心配される患者さんがいらっしゃいますが、これは誤解です。就寝中の数時間、入れ歯を外して歯ぐきを休ませることは、骨の吸収を加速させるのではなく、むしろ粘膜の回復を促し、入れ歯が長持ちするためのケアにつながります。気になることがあれば担当の歯科医師にご相談ください。
正しい外し方と保管・お手入れの方法
就寝前の入れ歯の外し方
部分入れ歯の場合は、留め具(クラスプ)がかかっている歯を傷めないよう、必ず指で慎重に外すことが大切です。爪や道具を使って無理に外すと、留め具が変形したり、残っている歯にダメージを与えたりすることがあります。総入れ歯の場合は、前歯部分を軽く押しながら空気を入れるようにして、吸着をゆっくり外します。急いで力任せに外そうとすると、歯ぐきを傷つけることがありますのでご注意ください。
入れ歯の正しい保管方法
外した入れ歯は、乾燥させないことが重要です。乾燥すると入れ歯の素材が変形・収縮し、翌日装着したときに合わなくなることがあります。
✅ 推奨される保管法
❌ 避けるべき保管法
毎日のお手入れ(ブラッシング+洗浄剤)
入れ歯の表面には食べカスや歯垢(プラーク)が付着します。毎日専用ブラシで丁寧に磨くことが基本です。歯磨き粉は研磨剤が含まれているため、入れ歯の表面に細かい傷をつけてしまいます。入れ歯専用のブラシ(または柔らかいブラシ)と専用洗浄剤を使いましょう。洗浄剤を使う場合は製品の指定時間を守り、ブラッシングと組み合わせることが大切です。
入れ歯の種類別・装着時間の考え方
総入れ歯(全部床義歯)の場合
すべての歯を失った方が使用する総入れ歯は、上顎の場合、口蓋(上あごの天井部分)全体を覆うため、長時間の装着は粘膜への負担が大きくなります。就寝中は外すことが一般的です。ただし、口腔内の状態や顎の形によっては、歯科医師から夜間装着を指示されることもありますので、自己判断せず担当医に確認するようにしましょう。
部分入れ歯(局部床義歯)の場合
数本の歯を補う部分入れ歯は、クラスプ(留め具)を残存歯に引っかけて固定するタイプが一般的です。クラスプがかかっている歯への負担を軽減するためにも、就寝中は外すことが推奨されます。また、睡眠中に入れ歯がずれてのどへ落ち込まないようにするためにも、外しておくほうが安全です。
ミラクルデンチャー・金属床義歯などの高機能入れ歯の場合
審美性・装着感を重視した「ミラクルデンチャー」や金属床の義歯など、適合精度の高い入れ歯であっても、基本的な「就寝時に外す」という原則は変わりません。ただし、高精度の入れ歯は口腔内への刺激が少なく設計されているため、ストレスが軽減されるメリットがあります。装着時間についての詳細は、担当医の指示に従ってください。また、インプラントで固定するタイプの入れ歯(インプラントオーバーデンチャー)については、固定方法によって装着管理方法が異なります。こちらも必ず担当医にご確認ください。
⚠ 入れ歯のフィット感が変わったと感じたら
「以前より入れ歯がゆるくなった」「痛みが出てきた」「食べ物が噛みにくくなった」と感じたら、それは入れ歯と歯ぐきの間に隙間が生じているサインかもしれません。放置すると歯ぐきへの負担がさらに増すため、お早めに歯科クリニックでチェックを受けることをお勧めします。
下北沢西口歯科クリニックの入れ歯へのこだわり
東京都世田谷区代田に位置する下北沢西口歯科クリニックは、1989年の開院以来、地域の患者さんのお口の健康を長くサポートしてきた歯科クリニックです。入れ歯(義歯)治療においても、患者さんお一人おひとりの状態に合わせた丁寧な対応を心がけています。
⚕ 院長 平澤 正洋 より
「皆さんに一生ご自分の歯で健康な食生活を送っていただくこと」が私たちの目標です。入れ歯は毎日のお手入れと定期的なフィット確認が、長く快適に使い続けるための鍵になります。「合わなくなってきたかな」「夜の管理はどうすればいい?」といった小さなお悩みでも、どうぞお気軽にご相談ください。東京都世田谷区代田の当クリニックで、皆さんの食べる喜び・話す喜び・笑う喜びをしっかりとサポートしてまいります。
よくあるご質問(FAQ)
この記事のまとめ
下北沢西口歯科クリニック|東京都世田谷区代田
入れ歯のことなら、まずはお気軽にご相談ください
初めての方も急を要する方も、随時受け付けております。東京都世田谷区代田・下北沢駅西口から徒歩1分以内。補綴専門医・入れ歯専門医が丁寧にご対応いたします。






